桜、散りゆく…  Category: 記憶をたどって…

Posted at 06/04/19 Trackback(0)»

20060419045927.jpg

当時、私が住んでいたアパートの裏には、駐車場があり、
その向こうには、幼稚園があった。
朝、幼稚園から子供の声が聞こえてくると、彼女は、腰高窓の下に
踏み台をおき、窓の外の風景を眺めていた。
引越しをしてきてから、そこへ立って幼稚園を見ているのが、
彼女の日課になった。
どんなに寒くても、彼女が窓を開けるので、ワタシはいつも、
赤いはんてんを着せた。

園庭には、ぐるりと、桜の木が植えてあった。
彼女の手を引いて、その下を散歩したものだった。
彼女は閉まった門に手をかけて、よく、その中へ入りたいと言う
しぐさをした。
中から、お兄ちゃんお姉ちゃんが話かけてくれる事も、良くあった。
先生にも、「もう少し大きくなったらね。」と言われたこともあった。

だけど、彼女がそこに咲いた桜を、見ることは…なかった。

彼女が星になってから、ワタシはその窓から外を見るのが辛くなった。
そこから、子供達の声が聞こえるのが、耐えられなかった。

そんなある春の日のこと、ふと見ると、幼稚園の桜が咲いていた。
ワタシは、園に子供が居なくなってから、外に出て、木の下に立った。
目を閉じて、何度も何度も、思い出した。
そして、ワタシは、小さな枝を折り、花入れに入れて彼女に見せた。

何日かの間、外に出ては見て、ウチの中から見ていた桜だったが、
ある、風の強い日に、いっせいに散り始めた。
ワタシは、急いで木の下に走っていった。

ああ、誰か、風を止めて…。
どうぞ、散らないで…。


彼女の、儚い小さな命と重ねてしまい、為す術もなく、ただただ、
散りゆく桜を、茫然と見ていた。

オカアサン…オカアサン…ドウカ、イッポ、フミダシテ…。

風に舞う、花びらの向こうで、小さな声がしたような気がした…。
そこには、いつものように、幼稚園で遊ぶ子供達の姿が、あるだけだった。

(季節は、どんどん移りゆくのに、ワタシは何をしているんだろう。)
ワタシは、心に芽生えたある小さな想いについて、考え始めていた。

あれから、もう、13年。
桜が咲くと、春の喜びを感じながらも、散りゆく時を想い、少し
感傷的になってしまうワタシである。

(勝手ながら、この記事に関してはコメント欄を閉じさせていただきます。)

13年の想いに…クリックしていただけたら嬉しいです。→アクセスランキング2

"桜、散りゆく…"へのトラックバック

トラックバック先URL

新着トラックバック

Powered by Movable Type

Template by MTテンプレートDB

Supported by Movable Type入門

アクセスランキング

ブログランキングに参加しています。