お嬢さまスキー Category: 記憶をたどって…
Posted at 06/03/05 PermaLink» Comment(9)» Trackback(0)»
そろそろ、スキーシーズンも終わりに近づいた、ある日。
ワタシと黒いやせっぽちは、仲間と共に、最後のスキーを楽しんでいた。
相変わらす、スキーブーツで歩くのは下手で、とても苦労していたが、
黒いやせっぽちのおかげで、この、超運動音痴で、スポーツ嫌いのワタシが、
ゲレンデの魔力に、取り付かれていた。
2人で、平日に休みを取り、初めて、スキー場に行った日。
黒いやせっぽちは、自分達が行くスキー場ではなく、初心者にも楽しめる、
そんなスキー場へ、ワタシを連れて行き、丁寧に教えてくれた。
何度か、一緒に滑ってから、
「ココ、降りてる間に、チョット上まで行ってくるから。」と言われた。
ワタシが、初心者ゲレンデを、滑り降りる時間…。
それは、彼が上級者コースを楽しむには、十分だった。
ところが、ワタシは、彼がリフトで手を振っているときに、既に転んでしまい、
そして…滑り降りて来るまで、1人で立てず、ずっと雪の上に座っていた。
そんな私を放っておけず、黒いやせっぽちは、付きっ切りでスキーを教えた。
そして、帰る頃には、やっとワタシも、1人で立てるようになっていた。
3回ほど2人で出かけたが、4回目には、初めて友人達とスキーに行った。
そろそろ、みんなと一緒に出かけられる…という事だった。
彼らがいつも行くのは、この辺りでは一番面白いと言われているスキー場。
要するに、上級者好みのスキー場だ。
黒いやせっぽちと、仲の良いS夫婦は、頂上からすごい勢いで、滑る。
そして、いつもは下のゲレンデになど、ほとんど降りてこない。
ワタシは、しばらく中級者コースを楽しんでいた。
ところが、突然みんなが「じゃ、行くぞー!」と言い、訳がわからないまま、
ワタシも、別のリフトに並んでいた。
そう…なんとワタシは、スキーを初めて4回目にして、この辺りでは、
一番の上級コースに連れて行かれたのだ。
「どう? 景色が違うだろ?
でも、基本は同じだから。コブを上手に利用してゆっくり滑れば、大丈夫。」
いや、大丈夫ではない。
中級者コースなどと、訳が違う。
だが、コレを降りない事には、戻れない。
黒いやせっぽちが、少し下まで降りている。
後ろで仲間達が、笑顔で、うなづいている。
(…やっぱり、怖い。 いや、でも…でも、行くか…。)
思い切って、滑る…最初のコブの手前で曲がり、止まる。
「大丈夫、その調子!」
また、少し滑って止まる…それを繰り返す。
みんなの10倍くらいの時間をかけて、やっと、彼までたどり着いた。
それを待っていたように、みんなが滑ってきた。
そんな風にして、やっと、途中の中級者コースまで、降りたワタシに、
みんなが言った。
「やったね! マムちゃん、コレで、上、OKだね。」
怖かったと言うより、できた事の方が嬉しかった。
それからまた、上級者は上級者コースへ上がっていった。
ワタシは、黒いやせっぽちに、無線を渡され、残ったメンバーと
中級者コースを滑った。
こうして、時々スリルを味わいながら、少しずつゲレンデの虜になっていった。
結局、その年は8回もスキーに行った。
だが、滑る事には慣れたワタシだったが、そんなことで、永年の超運動音痴が、
直るわけもなかった。
いつもの仲間には、もう、そんなワタシのコトは、しっかりバレていたし、
誰も、それを馬鹿にしたり、嫌がったりしなかった。
この仲間達も、黒いやせっぽち同様、ごく自然にワタシを受け入れていた。
スキーブーツで歩いたり、とっさの判断をしたり…そういうことは、
相変わらず苦手だったワタシに、S奥さんが言った。
「マムちゃん、スキー上手になったよね〜。 良かったね〜、ダディくん…。
でも…マムちゃんいいわぁ。
ウチのトウチャンにも、ダディくんのこと、見習って欲しいわ。」
「何言ってるんだよ、恋人同士だから、してもらえるんだよぉ。」
「ワタシだって、持ってもらいたいよ。スキー。」
「オレは、嫌だよ。ダディくんみたいに、優しくない。」
「ホントよね。 ダディくんは、私達のだって、いつも手伝ってくれてたよね。
ウチのトウチャンったら、何にもしてくれない。」
奥さんが少しムクれて、みんなが、ニコニコ笑ってる。
そういえば、ワタシはスキーを持った事がなかった。
いつも、黒いやせっぽちが、2人のスキーをクロスさせて担ぎ、
ワタシが、2人のストックをもち、後ろを不器用に歩く。
「良いの良いの。 Sカアチャン、相手が違うんだから、諦めろぉ。
それに、マムちゃん以外の女性陣は、もう、持ってもらえないぞ〜。」
別の友達が言った。
ワタシは、チョット不安になって、静かに笑っている彼を見た。
「マムちゃんにこれ、持たせたら、みんな帰れないよ。
歩くので精一杯だから…さ、行こう、行こう。」
みんな、とても優しい笑顔だった。
そして、車に向かう途中で、言った。
「良いんだよ。スキーを楽しんでくれれば、それだけで。
ずーっと、お嬢さまスキーで、いいんだよ。
オレは、スキーをしてくれるようになっただけで、嬉しいんだから。
マムちゃんが笑っていられるのが、一番なんだから。」
アレから10年たって、今度は子供達がスキーをするようになった。
今でも、彼は、2本のスキーを、クロスで担ぎ、大股で前を歩く。
だが、ワタシは、ストックの他に、不思議クンのスキーも持たなければ
ならなくなった。
相変わらず、不器用な歩き方だ。
「おかあさん、この靴、歩きにくいね。」
「うん、お母さんも、ずっと苦手なんだよね。」
ダディはもう、下の2人を連れて、ずいぶん先を歩いている。
ザッザッザッザッザ…。
足音が聞こえてきたかと思うと、一旦スキーを置いて戻ってきたダディが、
私の前にサッと屈む。
「バカだなぁ。コレじゃ、足が痛いだろ。 ブーツ、緩めないと…。」
慣れた手つきで、さっとブーツを緩める。
「あ、そっか。でも、手が空いてなかったし…。」
そう言っている間に、私から不思議クンのスキーとストックをとり、
また、大股で先を行った。
ザッザッザッザッザ…。
「お父さん、カッコイイね。」不思議クンがそう言った。
車についたときには、私達の靴と、レジャー用のベンチが用意してあり、
ダディは、手際よく、道具を車に積んでいた。
「不思議クン、ココ座ってブーツ履き替えよぉ。」
ワタシは、そう言って、ダディを見た。
結婚しても、子供が出来ても…10年経っても、変わらないこと。
ココにもまたひとつ。
久々の記憶カテに、おひとつポチッといただけると嬉しいです。→
ワタシと黒いやせっぽちは、仲間と共に、最後のスキーを楽しんでいた。
相変わらす、スキーブーツで歩くのは下手で、とても苦労していたが、
黒いやせっぽちのおかげで、この、超運動音痴で、スポーツ嫌いのワタシが、
ゲレンデの魔力に、取り付かれていた。
2人で、平日に休みを取り、初めて、スキー場に行った日。
黒いやせっぽちは、自分達が行くスキー場ではなく、初心者にも楽しめる、
そんなスキー場へ、ワタシを連れて行き、丁寧に教えてくれた。
何度か、一緒に滑ってから、
「ココ、降りてる間に、チョット上まで行ってくるから。」と言われた。
ワタシが、初心者ゲレンデを、滑り降りる時間…。
それは、彼が上級者コースを楽しむには、十分だった。
ところが、ワタシは、彼がリフトで手を振っているときに、既に転んでしまい、
そして…滑り降りて来るまで、1人で立てず、ずっと雪の上に座っていた。
そんな私を放っておけず、黒いやせっぽちは、付きっ切りでスキーを教えた。
そして、帰る頃には、やっとワタシも、1人で立てるようになっていた。
3回ほど2人で出かけたが、4回目には、初めて友人達とスキーに行った。
そろそろ、みんなと一緒に出かけられる…という事だった。
彼らがいつも行くのは、この辺りでは一番面白いと言われているスキー場。
要するに、上級者好みのスキー場だ。
黒いやせっぽちと、仲の良いS夫婦は、頂上からすごい勢いで、滑る。
そして、いつもは下のゲレンデになど、ほとんど降りてこない。
ワタシは、しばらく中級者コースを楽しんでいた。
ところが、突然みんなが「じゃ、行くぞー!」と言い、訳がわからないまま、
ワタシも、別のリフトに並んでいた。
そう…なんとワタシは、スキーを初めて4回目にして、この辺りでは、
一番の上級コースに連れて行かれたのだ。
「どう? 景色が違うだろ?
でも、基本は同じだから。コブを上手に利用してゆっくり滑れば、大丈夫。」
いや、大丈夫ではない。
中級者コースなどと、訳が違う。
だが、コレを降りない事には、戻れない。
黒いやせっぽちが、少し下まで降りている。
後ろで仲間達が、笑顔で、うなづいている。
(…やっぱり、怖い。 いや、でも…でも、行くか…。)
思い切って、滑る…最初のコブの手前で曲がり、止まる。
「大丈夫、その調子!」
また、少し滑って止まる…それを繰り返す。
みんなの10倍くらいの時間をかけて、やっと、彼までたどり着いた。
それを待っていたように、みんなが滑ってきた。
そんな風にして、やっと、途中の中級者コースまで、降りたワタシに、
みんなが言った。
「やったね! マムちゃん、コレで、上、OKだね。」
怖かったと言うより、できた事の方が嬉しかった。
それからまた、上級者は上級者コースへ上がっていった。
ワタシは、黒いやせっぽちに、無線を渡され、残ったメンバーと
中級者コースを滑った。
こうして、時々スリルを味わいながら、少しずつゲレンデの虜になっていった。
結局、その年は8回もスキーに行った。
だが、滑る事には慣れたワタシだったが、そんなことで、永年の超運動音痴が、
直るわけもなかった。
いつもの仲間には、もう、そんなワタシのコトは、しっかりバレていたし、
誰も、それを馬鹿にしたり、嫌がったりしなかった。
この仲間達も、黒いやせっぽち同様、ごく自然にワタシを受け入れていた。
スキーブーツで歩いたり、とっさの判断をしたり…そういうことは、
相変わらず苦手だったワタシに、S奥さんが言った。
「マムちゃん、スキー上手になったよね〜。 良かったね〜、ダディくん…。
でも…マムちゃんいいわぁ。
ウチのトウチャンにも、ダディくんのこと、見習って欲しいわ。」
「何言ってるんだよ、恋人同士だから、してもらえるんだよぉ。」
「ワタシだって、持ってもらいたいよ。スキー。」
「オレは、嫌だよ。ダディくんみたいに、優しくない。」
「ホントよね。 ダディくんは、私達のだって、いつも手伝ってくれてたよね。
ウチのトウチャンったら、何にもしてくれない。」
奥さんが少しムクれて、みんなが、ニコニコ笑ってる。
そういえば、ワタシはスキーを持った事がなかった。
いつも、黒いやせっぽちが、2人のスキーをクロスさせて担ぎ、
ワタシが、2人のストックをもち、後ろを不器用に歩く。
「良いの良いの。 Sカアチャン、相手が違うんだから、諦めろぉ。
それに、マムちゃん以外の女性陣は、もう、持ってもらえないぞ〜。」
別の友達が言った。
ワタシは、チョット不安になって、静かに笑っている彼を見た。
「マムちゃんにこれ、持たせたら、みんな帰れないよ。
歩くので精一杯だから…さ、行こう、行こう。」
みんな、とても優しい笑顔だった。
そして、車に向かう途中で、言った。
「良いんだよ。スキーを楽しんでくれれば、それだけで。
ずーっと、お嬢さまスキーで、いいんだよ。
オレは、スキーをしてくれるようになっただけで、嬉しいんだから。
マムちゃんが笑っていられるのが、一番なんだから。」
アレから10年たって、今度は子供達がスキーをするようになった。
今でも、彼は、2本のスキーを、クロスで担ぎ、大股で前を歩く。
だが、ワタシは、ストックの他に、不思議クンのスキーも持たなければ
ならなくなった。
相変わらず、不器用な歩き方だ。
「おかあさん、この靴、歩きにくいね。」
「うん、お母さんも、ずっと苦手なんだよね。」
ダディはもう、下の2人を連れて、ずいぶん先を歩いている。
ザッザッザッザッザ…。
足音が聞こえてきたかと思うと、一旦スキーを置いて戻ってきたダディが、
私の前にサッと屈む。
「バカだなぁ。コレじゃ、足が痛いだろ。 ブーツ、緩めないと…。」
慣れた手つきで、さっとブーツを緩める。
「あ、そっか。でも、手が空いてなかったし…。」
そう言っている間に、私から不思議クンのスキーとストックをとり、
また、大股で先を行った。
ザッザッザッザッザ…。
「お父さん、カッコイイね。」不思議クンがそう言った。
車についたときには、私達の靴と、レジャー用のベンチが用意してあり、
ダディは、手際よく、道具を車に積んでいた。
「不思議クン、ココ座ってブーツ履き替えよぉ。」
ワタシは、そう言って、ダディを見た。
結婚しても、子供が出来ても…10年経っても、変わらないこと。
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"お嬢さまスキー"へのコメント
CommentData » Posted by tetty at 06/03/06
TITLE:
嫁がまったくしないので、私はひとりで連れて行きます。。大変です
CommentData » Posted by ノア at 06/03/06
TITLE:
ダンナがスキーをやらないので、家族全員スキー知らずです。
記事読んでたら雪山が恋しくなっちゃった・・・・・って、わたしもそんなにすべれないのですが(笑
マムさん、今幸せなんだね。
・・・・・雪、溶けなかった?(ムフフ・・)
CommentData » Posted by すきやき at 06/03/06
TITLE:
10年変わらないってことは、この先の10年もきっと変わらないよね。
たくましいダディだね。 ズット付いていきたくなるね ^^)
幸せもずっと続いてほしいしね、、、
CommentData » Posted by キララ at 06/03/06
TITLE:
ダディさん、ほんとに素敵。
10年前から変わらないやさしさ。
マムさんのお子様たちも、きっとダディさんのように
成長するでしょうね。
この先が楽しみですね〜。
CommentData » Posted by R at 06/03/06
TITLE:
う〜〜ぅぅ
うらやましい・・・
同じ男で、ここまで違うか!!と思ってしまいました
昔、忘れもしない、今の旦那とスキーに行ったとき、極寒の吹雪の中の高速でチェーンを付けたのもワタシ(>_<)
荷物なんて、自分のものは持ったとしても、あとは全く気が付きすらしません
もちろん、転ぼうが、遭難しようが、おそらく気が付かない
そんなのが耐えられなくて?いつのまにかスキーに行かなくなったな〜〜
こうして、「守られる?」と言うことを知らないまま、現在に至ります
自分で選んだから仕方ないんだけど
一日でいいから、”お姫様”になってみた〜〜い!!
心底羨ましいですぞっっ
CommentData » Posted by ミモザ at 06/03/06
TITLE:
ダディ素敵ですぅ (≧▽≦)
結婚しても変わらない優しさって、惚れ直しません?
優しくて、面白い人最高じゃないですか♪
マムさん幸せ者ですよ!!
CommentData » Posted by アンティーク・マム at 06/03/06
TITLE:
[色:330099]記憶カテに、コメントありがとうございます。
皆さん、ダディのイメージをどんどん膨らませていらっしゃいますので、
非常にこの先、書きにくくなってまいります、強妻頑母です。
彼が、壊れてしまう時期は、まだ、もっともっと後の事…。
どうぞ、引き続き、記憶カテをお楽しみに。[/色]
☆tettyさん
え?? お1人で、何人連れて行かれるんですか??
スキー場での子守は、大変ですよね〜。
☆ノアさん
今度、一緒に行こうか。(笑)
慣れとは怖いノモノで、コレが日常だと、何とも思わなくなるのよね。
いけないいけない…。
今は、幸せ…いや、10年経って本当の幸せの意味がわかってきたの。
記事はもっと先だけど、ワタシタチにも…ひどい時期がありました。
気長に読んで、待っててね。
☆すきやきさん
う〜〜〜ん。
変わらないところもある。変わったところも、戻ったところも…イロイロです。
私たちは、結婚してから、泥沼時代がやってきます。
でも、10年経って、今はまた、新しい幸せのカタチを見つけました。
この先は、きっと大丈夫だと、思います。
☆キララさん
結婚前の記事を書くと、あまりにダディがいい人になりすぎて、困ってます。
うちの子、ダディの様になるのかな〜??
全く違うんですけど。
☆Rちゃん
も〜! Rちゃんまで…。
ご存知のとおり、ワタシは守られてるなんて、これっぽっちも思っていません。
は? そう? ありがと…てなカンジです。
でも、Rちゃんのスキー体験もすごいっ!!
ワタシだったら、もう、ブチ切れてしまう…Rちゃん偉い!
当時の彼は、どうすればワタシが立ち直れるか、考えていたと思います。
☆ミモザさん
う〜ん…優しさの本質は変わってないかな。
でも、惚れ直しません!(爆)
優しくて面白いだけではありませんので〜。
この先の泥沼時期が、書きにくい…かも。
CommentData » Posted by とみはち at 06/03/06
TITLE:
うちも教えたいけど・・・あたしが出来ない・・・。
しかも、彼氏はスキー派あたしはボード派。
しかも教えることが出来るほどうまくないので・・・。
もう少し大きくなったら彼氏に頼みます。
ヾ(;´▽`A``アセアセ
CommentData » Posted by アンティーク・マム at 06/03/07
TITLE:
☆とみはちさん
今は、スキーより、ボードの方が人気なんですかね。
子供に教えるのは、大変かもしれませんが、運動音痴の大人よりは、
ウンと早く、上達するようです。