言わなくてもいいのに…。 Category: 記憶をたどって…
Posted at 06/03/12 PermaLink» Comment(7)» Trackback(0)»
まだ、携帯電話なんか、誰も持っていなかったころ。
あの頃の連絡手段は、メッセージの入る、ポケベルだったっけ。
そんな、ある土曜日のこと。
「もしもし、マムちゃん? ダディくんに、連絡取れないんだけど…。
明日、みんなでスキーどうかな〜。」
「どうだろ?」
「あれ、一緒じゃないのね。」
「うん。違うよ。」
「そうか、連絡取れる?」
「どうだろ? 一応、メッセージ、入れておくけど。」
黒いやせっぽちは、ワタシと連絡を取るためにポケベルを購入したが、
他の人には、面倒だからと、番号も教えていなかった。
しばらくして、電話が入った。
「みんなが、スキーに行こうと言ってるみたいだけど。」
「あ〜、えっと、明日はやめとこうかな。」
「そう。じゃ、電話しておく。」
ちょっと、意外だった。
彼は、友人の誘いに、こんな曖昧な断り方を、した事なかったので。
翌日、ワタシは、仕事をかかえていたので、休日出勤をした。
黒いやせっぽちとは、会う予定もなかったし、また、来週末あたりに、
連絡してくるだろう…と思っていた。
ところが、その翌日、「今日、会える?」と、メッセージが入った。
ワタシは、仕事を早めに片付けて、待ち合わせの駅まで出かけた。
そこに、見慣れた車が待っていた。
「おととい、みんな残念がってたよ。
結局、みんな、あなたが行かないんで、やめにしたみたいよ。」
「うん、メッセージもらった時、取り込んでて…。
あんまり、真剣に考えられなかったんだよね。」
「そう。 ま、いいんだけど。」
「あのさ…。 あの時、前の彼女と会ってたんだ。」
いきなり、何を言い出すのだ。
確か、前の彼女は年上で、理由はよくわからないけど、ふられた…
とか何とか、言っていたような気がする。
「ここの所、ときどき、電話してきててさ。
何だか、やり直したいって…で、ケジメつけたかったんだよ。」
「ケジメ…?」
「うん。 そんな気はないって、はっきり言った。」
「はっきりって…、会って?」
「そう。」
「そうって…。」
電話でいいじゃない…別にわざわざ、会わなくても。
「ちゃんと言ったんだ。 いま、もっと大切な人が居るからって。」
「いや、そうじゃなくて…。」
「心配するような事はなかったよ。車で少し、話しただけだから。」
「車って…じゃ、おととい、ココに乗ったの?」
「何?」
「何って…感じ悪い。」
ワタシったら、何、怒ってんだろう?
ワタシの方は、恋愛感情、そんなに上がってなかったじゃない。
いや、でも、何だかカンジ悪い。
この男、相当バカじゃないの?
正直にも、自然体にも、程がある。
そんなことを、考えてたら、だんだん腹が立ってきた。
「怒ってんの?
オレは、このままだと、彼女がズルズルと連絡を取ってくるから、
はっきり言いたかっただけだよ。
今は、マムちゃんのことだけ、大切に守りたいから。」
「いや、チョット違う…気がする。」
ココで怒るのも、また、ヤキモチのようで、癪に障る。
「もう、いいよ。」
そのあと、お寿司を買って、とある夜景スポットで、食事をした。
まだ、男の人と歩いているのを、知人に見られるのも嫌だったし、
ワタシの心も癒えてなくて、人の多いところがきつかった。
そんなわけで、この男の愛車が、とても居心地がよくなっていた。
助手席に、お手製の簡易テーブルまで作ってきた、黒いやせっぽち。
ワタシの中で、少しずつ、存在感が出てきていた。
「どのネタが好き? じゃんけん、行くか?」
元カノに会ってた事など、ちっとも悪いと思っていないようだ。
ますます、腹を立てると、損をする気がしてきた。
「ば〜か…。 これ、いただき〜!」
「あ〜、ダメだよ。 次は、じゃんけんだぞ。」
「いいよ。行くよ〜、ジヤンケン…ポン!
やった〜。 また、いっただき〜!」
さて、それから数週間が過ぎ、私たちは、スキー場に居た。
「休憩しようか。」
「うん。」
「ゆっくりおいで…。」
相変わらず、歩くのが遅いワタシをおいて、2人分のスキーを立てて、
いったん、カフェに入る彼。
私がたどり着く前に、出てきて、不安定なワタシの手をとった。
入り口のところが、踏み固められて、特に歩きにくい。
「大丈夫? …今、中に、彼女が居たよ。」
「…だから、入ったの?」
「いや。 でも、入ろうとしたら、中から手を振ってた。」
「フーン…」
「彼女は大切な人だから、そっとしておいてくれって言って来たよ。」
「別に…。」
「可愛い人ねって…頑張ってねっ…てさ。」
「チョット、会わせてよ。こっちだけ見られるの嫌だな。」
「もう、さっき出て行ったよ。 気にするな。」
気にするなって…ずっと、見られてるかもしれないじゃない。
ココまで、正直だと、呆れてくる。
「別に、彼女とよりを戻してもいいわよ。
ワタシ、まだ、そんな本気じゃないから。」
「もう、忘れろ…。 いくぞ。」
その日は、一段とお嬢さま扱いだったような…。
帰りの助手席で、あの日、聞いたことを思い出していた。
「もう駄目なの…?」
「うん、ダメだ。」
「どうしても?」
「どうしても。」
「わかったわ…。」
「じゃ、ココで。」
「さよなら…。」
この車を降りた彼女は、いま、どんな気持ちでいるのか。
ワタシは、自分の中に、小さな嫉妬があることに驚いた。
そして、“誰かに守られている”ということに、戸惑っていた。
バカ正直者に、ポチッとする?→
あの頃の連絡手段は、メッセージの入る、ポケベルだったっけ。
そんな、ある土曜日のこと。
「もしもし、マムちゃん? ダディくんに、連絡取れないんだけど…。
明日、みんなでスキーどうかな〜。」
「どうだろ?」
「あれ、一緒じゃないのね。」
「うん。違うよ。」
「そうか、連絡取れる?」
「どうだろ? 一応、メッセージ、入れておくけど。」
黒いやせっぽちは、ワタシと連絡を取るためにポケベルを購入したが、
他の人には、面倒だからと、番号も教えていなかった。
しばらくして、電話が入った。
「みんなが、スキーに行こうと言ってるみたいだけど。」
「あ〜、えっと、明日はやめとこうかな。」
「そう。じゃ、電話しておく。」
ちょっと、意外だった。
彼は、友人の誘いに、こんな曖昧な断り方を、した事なかったので。
翌日、ワタシは、仕事をかかえていたので、休日出勤をした。
黒いやせっぽちとは、会う予定もなかったし、また、来週末あたりに、
連絡してくるだろう…と思っていた。
ところが、その翌日、「今日、会える?」と、メッセージが入った。
ワタシは、仕事を早めに片付けて、待ち合わせの駅まで出かけた。
そこに、見慣れた車が待っていた。
「おととい、みんな残念がってたよ。
結局、みんな、あなたが行かないんで、やめにしたみたいよ。」
「うん、メッセージもらった時、取り込んでて…。
あんまり、真剣に考えられなかったんだよね。」
「そう。 ま、いいんだけど。」
「あのさ…。 あの時、前の彼女と会ってたんだ。」
いきなり、何を言い出すのだ。
確か、前の彼女は年上で、理由はよくわからないけど、ふられた…
とか何とか、言っていたような気がする。
「ここの所、ときどき、電話してきててさ。
何だか、やり直したいって…で、ケジメつけたかったんだよ。」
「ケジメ…?」
「うん。 そんな気はないって、はっきり言った。」
「はっきりって…、会って?」
「そう。」
「そうって…。」
電話でいいじゃない…別にわざわざ、会わなくても。
「ちゃんと言ったんだ。 いま、もっと大切な人が居るからって。」
「いや、そうじゃなくて…。」
「心配するような事はなかったよ。車で少し、話しただけだから。」
「車って…じゃ、おととい、ココに乗ったの?」
「何?」
「何って…感じ悪い。」
ワタシったら、何、怒ってんだろう?
ワタシの方は、恋愛感情、そんなに上がってなかったじゃない。
いや、でも、何だかカンジ悪い。
この男、相当バカじゃないの?
正直にも、自然体にも、程がある。
そんなことを、考えてたら、だんだん腹が立ってきた。
「怒ってんの?
オレは、このままだと、彼女がズルズルと連絡を取ってくるから、
はっきり言いたかっただけだよ。
今は、マムちゃんのことだけ、大切に守りたいから。」
「いや、チョット違う…気がする。」
ココで怒るのも、また、ヤキモチのようで、癪に障る。
「もう、いいよ。」
そのあと、お寿司を買って、とある夜景スポットで、食事をした。
まだ、男の人と歩いているのを、知人に見られるのも嫌だったし、
ワタシの心も癒えてなくて、人の多いところがきつかった。
そんなわけで、この男の愛車が、とても居心地がよくなっていた。
助手席に、お手製の簡易テーブルまで作ってきた、黒いやせっぽち。
ワタシの中で、少しずつ、存在感が出てきていた。
「どのネタが好き? じゃんけん、行くか?」
元カノに会ってた事など、ちっとも悪いと思っていないようだ。
ますます、腹を立てると、損をする気がしてきた。
「ば〜か…。 これ、いただき〜!」
「あ〜、ダメだよ。 次は、じゃんけんだぞ。」
「いいよ。行くよ〜、ジヤンケン…ポン!
やった〜。 また、いっただき〜!」
さて、それから数週間が過ぎ、私たちは、スキー場に居た。
「休憩しようか。」
「うん。」
「ゆっくりおいで…。」
相変わらず、歩くのが遅いワタシをおいて、2人分のスキーを立てて、
いったん、カフェに入る彼。
私がたどり着く前に、出てきて、不安定なワタシの手をとった。
入り口のところが、踏み固められて、特に歩きにくい。
「大丈夫? …今、中に、彼女が居たよ。」
「…だから、入ったの?」
「いや。 でも、入ろうとしたら、中から手を振ってた。」
「フーン…」
「彼女は大切な人だから、そっとしておいてくれって言って来たよ。」
「別に…。」
「可愛い人ねって…頑張ってねっ…てさ。」
「チョット、会わせてよ。こっちだけ見られるの嫌だな。」
「もう、さっき出て行ったよ。 気にするな。」
気にするなって…ずっと、見られてるかもしれないじゃない。
ココまで、正直だと、呆れてくる。
「別に、彼女とよりを戻してもいいわよ。
ワタシ、まだ、そんな本気じゃないから。」
「もう、忘れろ…。 いくぞ。」
その日は、一段とお嬢さま扱いだったような…。
帰りの助手席で、あの日、聞いたことを思い出していた。
「もう駄目なの…?」
「うん、ダメだ。」
「どうしても?」
「どうしても。」
「わかったわ…。」
「じゃ、ココで。」
「さよなら…。」
この車を降りた彼女は、いま、どんな気持ちでいるのか。
ワタシは、自分の中に、小さな嫉妬があることに驚いた。
そして、“誰かに守られている”ということに、戸惑っていた。
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"言わなくてもいいのに…。"へのコメント
CommentData » Posted by ノア at 06/03/13
TITLE:
一応ボチッとしておきました(笑
誠実な人じゃない。
すごく順調に関係が進んでいると思うよ。
ボォッと燃え上がる恋ではないけれど、少しづつ進んでいったんだね。
ほんと、ドラマみたい。
愛車の簡易テーブルがとっても素敵[絵文字:v-238]
うちにもほしいなあ(笑
CommentData » Posted by すきやき at 06/03/13
TITLE:
その時の気持ち・・・いつまでも、お互いの心に持っていて欲しい。
まだまだ先が長いから、何かあった時に、思い出して・・・ネ!
ホントに、いろんな事があるから。
自分達だけで生きている訳じゃないから。
周りの人が影響してくることもあるしね。
嬉しい恋の始まりだったね、、、
CommentData » Posted by す〜さん at 06/03/13
TITLE:
聞けば聞くほどダディさんって私と良く似てる!!
同じ様な事を昔に言われました。
以前はホントに正直に何でも言い過ぎてたみたいで・・・
今ではチョット判ってきた(の つもり?)かな[絵文字:v-391]
CommentData » Posted by とみはち at 06/03/13
TITLE:
いいな〜。
愛されてるって感じがします。
バカ正直はいい時と悪い時がありますねぇ〜。
ヾ(;´▽`A``アセアセ
CommentData » Posted by bunga3 at 06/03/14
TITLE:
正直なダディさん!
でも、言わなくてもいいのに・・・と思うマムさんの気持ち、とても
よく分かります。
大切にしたいということをダディさんは表現したいと思ってるでしょうけど、
聞けば聞くほど、ジェラシーが湧いてくる自分がイヤですよね。
私も、結婚するとき、「浮気はしても、絶対に言わないでね。分らないように
してね」と言ったら、「そんなのムリだ」と隠せない性格を白状していました。
CommentData » Posted by キララ at 06/03/14
TITLE:
うちの夫は結婚前、こちらのことは根掘り葉掘り聞いたのに
自分の過去のことは一切話しませんでした。
何度聞いても教えてくれない。
そうなると逆に、終わったことなのになんでそんなに隠すの[絵文字:i-231]
と思った覚えがあります。
知りたいような知りたくないような。
知ってしまったら確実に気になる要因だとは思うのですが。
ダディさんはほんとに誠実な人なんだなあ。
隠し事はできない人なのですね。
CommentData » Posted by アンティーク・マム at 06/03/15
TITLE:
[色:660099]コメレス、遅れました〜。ごめんなさい。
爆走の一休みに書いてますぅ。[/色]
☆ノアさん
そう。誠実なんです。(笑)
まだまだ、大丈夫よ。
順調でなくなるのは、結婚してから…かな? お楽しみに。
簡易テーブルはね、良かったよ…一応、技術屋だからね。
☆すきやきさん
その時の気持ち・・・忘れちゃったんですよ。
結婚してから…昨年まで…(笑)。
でも、いま、記憶カテゴリーで、取り戻しています。
☆す〜さん
そうなんですか〜。
いよいよ、一度お目にかかりたくなってきました。(笑)
時が経てば、学んでいくのでしょうか?
☆とみはちさん
どうなんでしょう?
でも、お互い、あまり隠し事ないですねぇ。
☆bunga3さん
そうなんです!!
さすがbunga3さん、思いっきり言い当ててます!(笑)
喜ぶべきか、怒るべきか、とても複雑でした。
男の人って、不器用ですよね。
☆キララさん
それはそれで、ご主人の愛情のカタチ…のような気がしますが。
ダディ、誠実ですね〜。
でも、先にワタシが過去を話したので、気が楽だったと思います。